健康にイイ、温泉の選び方
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健康にイイ、温泉の選び方
温泉には疲労回復やストレス解消など、さまざまな効能があります。 日本は世界有数の温泉大国ですから、温泉を存分に活用し、健康でいきいきとした生活をおくりましょう。
温泉の効能は地球の恵み
療養に適した温泉、療養泉
一般的適応症と泉質別適応症
一般的適応症
筋肉、関節の慢性的な痛み、こわばり | 軽い喘息・肺気腫 | 痔の痛み |
運動麻痺による筋肉のこわばり | 冷え性、末しょう循環障害 | 胃腸機能の低下 |
軽症高血圧 | 自律神経不安定症・ストレスによる諸症状 | 耐糖機能異常(糖尿病) |
軽い高コレステロール血症 | 病後回復期 | 疲労回復、健康増進 |
泉質別適応症
泉質名 | 浴用 | 飲用 |
---|---|---|
単純温泉 シゲキはマイルド | 一般的適応症に加えて 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態 | |
塩化物泉 皮ふに塩分が付着するため、保温効果・循環効果があります | 一般的適応症に加えて きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮ふ乾燥症 | 萎縮性胃炎、便秘 |
炭酸水素塩泉 皮ふの角質を軟化する作用があります。俗にいう「美人の湯」 | 一般的適応症に加えて きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮ふ乾燥症 | 胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風) |
硫酸塩泉 飲んで胆のうを収縮させ、腸のぜん動を活発化します | 一般的適応症に加えて きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮ふ乾燥症 | 胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘 |
二酸化炭素泉 炭酸ガスが皮ふから吸収され、保温効果や循環効果が得られます | 一般的適応症に加えて きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症 | 胃腸機能低下 |
含鉄泉 空気に触れると金色に変色します | 一般的適応症 | 鉄欠乏性貧血 |
酸性泉 殺菌力が強く肌トラブルに効用 | 一般的適応症に加えて アトピー性皮ふ炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、耐糖能異常(糖尿病) | |
含よう素泉 飲んで総コレステロールを抑制 ※甲状腺機能亢進症の場合は注意 | 一般的適応症 | 高コレステロール血症 |
硫黄泉 殺菌力が強く、表皮の細菌やアトピー原因物質を取り除きます | 一般的適応症に加えて アトピー性皮ふ炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症 ※硫化水素型の硫黄泉は末しょう循環障害も追加 | |
放射能泉 炎症に効果的 | 一般的適応症に加えて 高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など |
※2つ以上の泉質に該当する場合、該当するすべての適応症がある
液性(酸性、中性、アルカリ性)
温泉にも酸性、中性、アルカリ性といった性質があります。酸性の温泉は殺菌効果が高く、アトピー性皮ふ炎、ニキビ等の肌トラブルに効果があり、アルカリ性の温泉は皮脂を溶かし角質を整える美肌効果があります。 どちらが一方的に良いということはなく、酸性も強すぎれば肌を痛めますし、アルカリ性も強すぎればお肌がカサカサになってしまいます。自分の体質や目的にあった温泉を選ぶことが大切です。浸透圧(低張性、等張性、高張性)
人間の浸透圧よりも低いものを低張性、同程度のものを等張性、高いものを高張性と呼びます。言い換えると「温泉成分が体に染み込みやすいものが高張性」「染み込みにくいものが低張性」となります。こちらも、どちらが一方的に良いということはなく、高張性は成分が濃いため効能が得やすいかわりに湯あたりや好転反応などのデメリットも出やすく、低張性は成分が薄いため温泉初心者でも安心に楽しめます。 いずれも自分の体質や経験、好みに合わせて選ぶことが大切です。症状に合わせた療養泉の選び方
目的、症状 | オススメの泉質 |
---|---|
冷え性を改善したい | 塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉 |
肩こり、腰痛などのデスクワーク疲れを改善したい | 塩化物泉、硫酸塩泉、炭酸水素塩泉、二酸化炭素泉、硫黄泉(硫化水素型) |
肌荒れ、アトピー、ニキビなどの肌トラブルを改善したい | 酸性線、硫黄泉 |
美肌づくりをしたい (アルカリが強い場合、浴後の保湿は十分に) | アルカリ性単純温泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、二酸化炭素泉 |
自律神経を整えたい | 単純温泉、塩化物泉、二酸化炭素泉 |
疲れを癒したい | 全ての泉質 |
温泉の注意点
適応症が認められている温泉ですが、過ぎたるは及ばざるがごとし、無理な浴用は体に悪影響がでてしまいます。禁忌症
禁忌症とは、1回の浴用や飲泉でも体に悪影響を及ぼす症状のことを言います。この症状に罹患している場合は、温泉の使用は避けましょう。浴用における一般的禁忌症、泉質別禁忌症
種別 | 禁忌症(浴用) |
---|---|
一般的禁忌症 すべての泉質に共通する禁忌症 | 病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期 |
泉質別禁忌症 泉質ごとの禁忌症 | 酸性泉 皮ふ又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮ふ乾燥症 硫黄泉 酸性泉に同じ |
飲泉における禁忌症(含有成分別禁忌症)
成分 | 含有成分別禁忌症 |
---|---|
ナトリウムイオンを含む温泉を 1日(1,200/A)×1,000mLを超えて飲用する場合 | 塩分制限の必要な病態(腎不全、心不全、肝硬変、虚血性心疾患、高血圧など) |
カリウムイオンを含む温泉を 1日(900/A)×1,000mLを超えて飲用する場合 | カリウム制限の必要な病態(腎不全、副腎皮質機能低下症) |
マグネシウムイオンを含む温泉を 1日(300/A)×1,000mLを超えて飲用する場合 | 下痢、腎不全 |
よう化物イオンを含む温泉を 1日(0.1/A)×1,000mLを超えて飲用する場合 | 甲状腺機能亢進症 |
上記のうち、二つ以上に該当する場合 | 該当するすべての禁忌症 |
湯あたり
湯あたりとは、温泉地で温泉入浴をはじめて3日頃からあらわれる場合のある体調不良で、「食欲がない」「だるい」「頭が痛い」「熱っぽい」といった症状が代表的です。「温泉の成分によるもの」「過度な温浴によるのぼせ」「ホルモン系の異常」とされることもありますが、完全には解明されていないのが実情です。一過性の症状で、入浴・飲泉回数を減らすとすぐ回復することが多いですが、休息をとっても治らない場合は、体質が合わない可能性があるため、浴用は控えた方がよいでしょう。飲泉
日本では保健所の飲用許可を取得している温泉のみ、飲泉することができます。飲用許可を得ていない場合、飲用で身体に悪影響を及ぼす可能性があるので、避けましょう。飲泉は浴用と違い、直接体内に温泉を取り入れることになりますので、定められた量(最大500ml/日)や禁忌症に定められた症状及び制限量に十分な配慮が必要です。 また、衛生面や成分変化の観点から、原則としてその場で飲むことが推奨されています。監修: 一般財団法人 日本健康開発財団 後藤康彰 医学博士